はじまり

妹「宇宙の始まりってどうなってるの」
私「宇宙背景輻射っていう宇宙のいたるところからくる光の揺らぎの観測から、インフレーションというのがあってめっちゃ広がったということが確実」
妹「たとえばこの指の先くらいの大きさがどのくらいまで広がったの?」
私(う、計算したことない)「そらもうめっちゃくちゃでかいよ。ちょっとまって」
グーグル様に聞く。
おや、e-folding 60 で1億光年ですか。意外とちっちゃい。
私「見えてる宇宙の1/100ぐらい。つまり1mの領域がだいたい今見えてる宇宙の大きさぐらいまで広がったと」*1
妹「なんで広がったの?」
私「真空のエネルギー」
妹「その真空っていうのは真空管の真空と一緒?」
私「違う。ここでいう真空ってのは粒子がなんにもないってこと。粒子はなんにもないんだけど場が充満している」
妹「場?電気とかの?」
私「電気的には中性だけどだいたいそんなようなもん。電気の場は電場とか磁場。今考えてるのはよく分からない場。よくわからないけどインフレーションを引き起こした奴なのでインフラトンと名前がついてる。ちなみにこの世の素粒子のすべては場です」*2
妹「場ってのは波みたいなもの?」
私「そうそう」
妹「なんにもないけど場だけがあってそのエネルギーで広がったと」
私「そうそう」
妹「そのエネルギーは何が与えてるの?」
私「分からない。場がこうなってるときにはエネルギーはこうなるんじゃないか?と手で式を書いてるだけ。その結果を観測と比べて最終的にあってたら正しい事になるけどまだそこまで行ってない」
(正しいことになったらこんどはそれが何からどう与えられるか?というステップに行くわけですな)
妹「なんで1メートルのサイズで場がおなじになるの?」
私「それも分からない」*3
妹「インフレーションの前はどうなってるの?」
私「それも分からない」
妹「じゃともかく今わかってる宇宙の始まりは、1メートルの大きさの、場のものすごいエネルギー、ということでいい?」
私「いい」
妹「それがめっちゃ短い時間で広がったと」
私「そのとおり。0.000000………00000001秒とかそういう」

*1:長さ1メートルはインフレーションの途中であって、もっとちっさいところから本当は始まってるわけだけど、観測的に証拠付けられているのはだいたい e-folding 60 ぐらいまでですよね。

*2:このへんや後の途中でヒッグス場のはなしや余剰次元のはなしも大分したが本稿は宇宙のはなしなのでパス。

*3:Slow-roll inflation は地平線問題を解決しない、というのが私の立場。