硫黄島からの手紙

理研は「振替出勤」という便利な制度があり今期は木曜と日曜を休みにしてるのだが、先々週の木曜日おくさんと超久々のデートで見ましたよ。硫黄島からの手紙
 全体を貫くいかにもつくりものじみた嘘嘘しさに辟易して全く入り込めなかった。許せないものを感じた。
 なんでよ?と思う人でもいればもうちょっと詳しく書くかもしれないがどうせいないから書かない。つか今ネガティヴな事をずらずら書く程ネットに嵌ってないので、とりあえず日本人なら全員四の五の言う前に七平の戦争三部作を読んで当時の空気に触れとけとだけ言う(全日本人必読の書だと思う;前書いた事あるがその後これには奥さんも見事にハマってくれて嬉しかった;4冊もめんどい人はとりあえず一冊目の上巻だけでも買うなり借りるなりするべし):

ひとことでいってあんな娑婆っ気の抜けない兵隊があるかいなと。あんなんで戦場で人を殺せるかちゅーの。なんの為に内務班の凄惨なリンチ地獄があったと思ってんだ。直接は関係ないがというかやっぱり関係あるがこれもあげとこう(こっちはなんかもう人類必読):

 あと硫黄島の炎熱地獄がひとつも描写できていない(参照)。湿気と硫黄の臭いの立ちこめる壕の一つ一つにガソリン流し込んで火炎放射器で焼き払う/焼き払われる地獄絵図の百分の一でも再現しようという気が感じられない。あんなカリホルニア風の広くて乾いた涼しげな洞窟で描写する事自体が許せない。御国に御霊を捧げた方々の行為をあんな形でエンタテイメントにしてしまう事に疑問を感じなかったのか。*1
 結局書いてるな悪口。


*1:バンザイ突撃をしなかった/させなかったのが栗林さんの偉かった所なのに映画じゃ最後本人がバンザイ突撃してるしなんかもう荒唐無稽すぎて( ゚д゚)ポカーンというかんじ。考証も何も無茶苦茶。硫黄島で戦った将兵への敬意がまったく感じられない。ちなみにWikipediaでは以下のように記述されている:「栗林自身は、三月二十六日にアメリカ軍に対して突撃を敢行し戦死を遂げた。突撃前に中将(実際には大将に昇進していたが)の階級章を外し、一兵士と同じく戦い戦死した為、戦闘終結後のアメリカ軍による調査でも栗林の遺体を発見出来なかった。この最後の突撃は、所謂万歳突撃の形を取らず、隠密に敵陣に近づき敵側の油断を突いたゲリラ戦に近い戦法を取った為、予期していなかったアメリカ軍に対して大打撃を与えた。」映画の偽栗林は階級章も外さずに、それは愚かアメリカで貰った記念の真っ白な拳銃下げたままで御突撃なさってらっしゃる。あほらし。