イラク

 移民の統合というのがドイツで深刻な問題になっているのはみなさん御存知でしょうか。で、移民の奥様向けの託児所つきのドイツ語教室、というおそらく公費で補助されている安いコースがたくさんある。母親がドイツ語喋れるようになったら子供がドイツ語喋るようになるのもスムーズであろうという戦略か。
 で、(日本人に比べて)おおらかなドイツ人らしく、特に基準とか何もないので、半年後に出ていく我々であるが、うちのおくさんが今年からそれに通っている。その教室ではおくさま学生はアラブ人イラン人が多い。ちなみに授業で「自分の国に帰りたいか」という話になったときほぼ全員「帰りたい」(含うちの奥さん^^;)といったとな。うちはともかく、自分の生まれ育った国に単純労働ですらなかなか仕事がなくて帰りたくても帰れない、というのはなんとも辛いものであろうな、と及ばぬながら思いをいたす。
 で、託児所の子守係もイラク人とイラン人(彼女達自身も子供を連れてくるらしいw)。うちの子は母親から離れるのが困難で、最初の30分ぐらい託児所で子守係のステラとミトラとおしゃべりしつつ子供を遊ばして、その後子連れで授業というパターンだそうな。
 こないだは電子辞書を使ったら目を輝かせてそれはなんだ、と聞かれたそうな。そうヨーロッパでは電子辞書は全く売っていない。で400ユーロとかでも絶対買う、日本のメーカーに問い合わせろと言われ、問い合わせのメールを送ったら案の定発売予定はないと返事が来たらしい。世界一口うるさい日本のユーザー相手に凌ぎを削ってないで、ヨーロッパに何百万人もいる移民相手の商売をなぜやってみない。例えばドイツでドイツ語←→アラビア語ペルシャ語トルコ語とか出したら飛ぶように言い値で売れて大儲けだと思うんだがなぁ。最初にやればブランドを確立できるぞ。
 で、昨日ステラ(イラク人の方)がなんか元気なかったのでどうしたといったら前の晩4時間しか眠れなかったと。ときどきそうやって眠れなくなると。もうあまりにしょっちゅうでたいしたニュースにもなりませんがその前日また大規模な爆弾テロ(?)が彼女の出身地のバグダッドであったと。親兄弟親戚一同みんなバグダッドに残してもう6年も帰ってないと。イラクは世界中から血も涙もないテロリストの集まる場所にされてしまったと。
 無言で肩を抱いてなぐさめるしかなかったと。
 オチは無し。