内田樹

自分が若いときに身を投じた革命ごっこの総括もせずに年寄りになって養われる側に移行しそうになったら滅私奉公のススメかよ。おめでてえな。その過剰労働の贈与の先は誰だよ。資本家じゃん。まるで働かないで蝶よ花よの階層を見たことがないとは言わせんぞ。
だいたいこれが「自然」だからこうしなさい、って、「女は外で働いて仕事なんかせずに子供産んで家庭を守るのが自然なのだからそうしなさい」という話法と全く一緒なんですけど。さらにその前提となる

賃金と労働が「均衡する」ということは原理的にありえない。
人間はつねに「賃金に対して過剰な労働」をする。
というよりむしろ「ほうっておくと賃金以上に働いてしまう傾向」というのが「人間性」を定義する条件の一つなのである。

これ自体全く嘘。「人間」って何だよ。いっぺんドイツに来てみろってんだ。何度も書いてるがこんなに低レベルの労働でこんなに生活が保証されるのか!と吃驚だ。引用してるレヴィ・ストロースの母国フランスなんてもっと凄いぞ。
だいたい日本だって『一昔前なら、「できるだけ楽をして高い給料をもらいたい」とか「サービス残業とかバカみたい」とか「過労死するサラリーマンなんか信じられない」というクールな回答がマジョリティを占めた』んだろうが。女学院の学生さん、状況が悪くなりすぎて奴隷労働を強いられてる人々を目の前にして何もできない自分をジャスティファイしたい気持ちでいっぱいなんでないの。あからさまに異常な、労働基準法に対する違法行為をしてない会社が存在しない、という現状を改善して、普通の庶民が人間らしい暮しができるようにするのが先じゃないのか。
まどうでもおれは働くけど。(なんじゃそら