出産・育児による研究中断者への復帰支援フェローシップ(学振RPD)

以前かえるさんとこで子づくりと仕事の両立の話が話題になった(参照コメント欄)。ってまずいちおう自分のカキコだけでも貼っとくか。

odakin 『ベビーシッターというのはあんまし一般的じゃないんですかね。二人ともフルタイムで働いてるならかなりの金額を出せそうな気がするけど。
国策としても、フィリピンなんていうベビーシッターの大輸出国が近所にあるのに受け入れないのはもったいない気がする。
まどうやったって結局「どちら*も*一方的に犠牲を強いられる」事になると思うけどw
でも誰でもやってりゃそんでもやる意味はある、と思うようになるよね。途中で投げれないし、そこまで人間にコミットするというのはなかなか現代では得にくい生の実感を得られる事でもある。』 (2006/02/24 23:08)


odakin 『ポスドクじゃ2年も休みとれませんねぇ・・・。そもそも任期自体が2年か3年だし。ちなみに日本の施策における若手科学者の扱いは「ポスドク+使い捨て」あたりで検索してみればよく分かるかと(^^;;
任期後どこにも応募しないで2年間子育てして再応募、というのは原理的には可能だけど、2年も論文出てない人をとってくれる所はないと思います。ボン大でツッカーさんという、僕よりよっぽどのヒット作を出した人がいたけど、彼もいっぺん会社に就職してからポスドクに応募したらどっからも取ってもらえなかった(これは素粒子論業界全体にとって損失だと思った)。
「publish or perish」(論文出せ、さもなきゃ死ね)という世界でアリマス。←例えば素粒子論の僕と同じぐらいの代の直接知ってる人に限っても既に3人死んでいる。
ただ、ポスドクカップルで子供を作った例は知ってます。当時旦那がヘルシンキで奥さんがつくば市ヘルシンキだったかな。』 (2006/02/25 00:18)


odakin 『「大学の担当教官か、最初に行った研究室あたりで、その人の人生半分決まる」ような分野はだいたい学問としてもう死んでて人が集まらないから流動性もないといった魅力のない分野なのではないかな。
と本筋と全然関係ないところで毒を吐いてみる(スンマセン)

本筋で言うと「すんません。すんません。すんません」と思わないと子供を作れない社会ってやっぱ激しく狂ってるよ。逆説的だが、欧州並みに左翼が強くなって労働者の権利が守られるようになれば、経済だって上向くんじゃないかと思うんだけどな。。』 (2006/02/25 02:00)


odakin 『いやーぶっちゃけ二人とも子供がほしいなら作っちゃえばいいと思いますけどね。実際上に書いたように作った例も知ってるし。
子供なんて冷静に損得勘定してたらいつまでたっても作れない(^^; 情念の世界に属するものである気がする。
・・・なんか避妊するのが当たり前になって子供が「授かる」ものじゃなくて「作る」ものになっちゃうのは、現代文明の非常にイクナイ点だと思う。』 (2006/02/26 20:29)


 でこれも何かの縁ということで今日 sg-l で流れてきた新制度を紹介:
特別研究員-RPD(平成18・19年度採用分)の募集について −出産・育児による研究中断者への復帰支援フェローシップ−

 日本学術振興会では、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保を図るため特別研究員制度を実施しています。
 この特別研究員制度の一環として、子育て支援や学術研究分野における男女共同参画から、優れた若手研究者が、出産・育児による研究中断後に円滑に研究現場に復帰できるよう特別研究員-RPDを平成18年度より創設しました。
 今回は平成18年度と平成19年度採用分の募集を同時に行います。

 例えば、非常勤研究員や任期付ポスドクは、出産・育児休業制度が適用されない場合があるため、出産・育児に際してその職を辞めざるを得ないなど、その後の研究現場への復帰が困難な状況にあります。そこで、本事業によりこのような方々が研究活動を再開するための支援を行い、多様で優れた研究者の養成・確保を更に推進することを目指すものです。


 別にこれが導入されても根本の「publish or perish」(論文書け、さもなきゃ死ね)という殺伐とした状況はなにひとつ変わらないわけだけど(上の「3人」は日本人だけでです)、ま一歩前進ということで。

追記

 かえるさんにリンクいただいて恐悦至極。
 いや別にそんな御大層なもんでもないんですけどね。やってる方はわりと気楽にやってます。というかそういうタチじゃない人は淘汰されていなくなるw
 あとヨーロピアンは(たぶんアメリカンも)本当に死んじゃう人は少ないんじゃないかと思います。「これでだめなら他の道があるさ」って感じでわりと柔軟。僕が直接知ってるのはイタリアンの実験屋さんのポスドクだけです(おっとこれもやはり@日本だな)。
 日本じゃそもそも何かと「他の道」が用意されていない社会構造が背景にある、というのと、あと団塊の世代が「逃げ切る」ためのいわゆる失われた10年(というかもう15年か)でさらに他の道が狭まってたというのと、あとやっぱし何といってもなんだかんだいって日本人は真面目で思い詰めやすいというのがあるのかなーと思います。それから欧米の基準からしたら考えらんないようなビンボ臭い建物にギッシリ詰め込まれてやってるからよけい鬱になりやすいというのもあるかも。