20年後読むためのクリップ

finalventさんとこのコメント欄から:

■朝日社説 ブッシュ人事 一人忘れていませんか 09:19

 あはは呑気な社説だな。ってか冗談で社説埋めるんじゃねー。

 しかし、人事はどうあれ、大統領自身がイラクでの誤りと責任を明確にしない限り、内外での信頼回復という「使命」を達成できるとは思えない。

 事実は逆で正統政権がちゃんと樹立した、奇跡のように。

 

# odakin 『私はイラクニュース追ってないんでこんなこというのもアレなんですが「事実は逆で正統政権がちゃんと樹立した、奇跡のように」は以前からの御自身の発言に引きずられた願望=現実というか仮定=結論であるように私には見えます。率直にいってこの件に関しては現時点では「爺およんだな」的に思ってますが(スンマセン)、もし差し支えなくて時間と労力の余裕があれば、こっちででも極東ででも私の蒙を啓くような記事キボンヌであります。』


# finalvent 『odakinさん、ども。いえいえ、そう見ていていいんじゃないですか。私はできたらあと20年生きて、民主化されたイラクを見て今を顧みてみたいですよ。カワセミさんがおっしゃていたけど、普通なら百年の期間をかけることをゴリっとやりすぎた面はありますが、やるかやらないかしかチョイスがなかった。やってしまったら、責任を持つだけです。』


# odakin 『ふむ。
20年経ってもう一度見返してみますかね。ちゃんとその時までfinalventとしてネットに残っててくださいよ(^^; ファンなんだから。
ちなみに、ヴェトナムについては米国のバックアップの南の軍事独裁政権が全土を掌握した方が今よりマシだったという立場ですか?』


# finalvent 『odakinさん、ども。ちょっと皮肉なトーンも感じるなかで、マジレスするのも野暮なんですが、まず、前提としてベトナム戦争は間違った戦争でしたよ、ガチ。そうした議論はしません。で、歴史のIFとして米国が勝っていたら……それについては少し考えたことがあります。案外、今と変わらないのではないかというふうに思いました(ベトナム戦争戦後の本質は対中国かもしれません)。あと、ベトナム戦争は私の生きた時代の歴史なのでわかるのですが、あれにイラク戦争を比べるとラムちゃんとかが何考えているかというか感じているかわかります。あまりにクリーンな戦争です。そのことがどれほど恐ろしい問題かということが現代日本人にはわからなくなりつつあるなと思います。あと、これは言うできではないのですが、ベトナム戦争は米国が悪というフレームで語られたりあるいは冷戦とかで語られますね。私はこの戦争の最大のポイントは共産党政権が自国民を実質的に大量死させたことだと思うことがあるのですよ。たしか国民の1/3が死んだ。そんなことがあってよかたのかと。そう思うのは、今の日本人は日本が大東亜戦争で負けるべくして負けると思っているというかそれが水や空気のような感覚でいる。でも、私は沖縄で暮らしてわかったのですよ、沖縄人は日本人だったし、一億焦土を沖縄レベルでやったんです。あの沖縄の戦争は負けは負けたけど米兵は震撼したのですよ。それがいいことでは全然ありません。もし昭和天皇が聖断を下さなければ、日本人は沖縄人のような酸鼻な戦争を日本本土で沖縄戦のようにやったはずなのです。原子爆弾をあと6発くらい食らって。国民の1/3くらい死に絶えるまで。そして、それは奇妙な形でも勝利だったかもしれないのです。悪い冗談を言っているのではありませんよ。私は死んだベトナム民衆を悼むしその運命にアジア人としての日本人を重ねて感じるのです。odakinさん。okdakinさんは私がアホウな爺保守だと思っていらっしゃるのでしょう。私がもうちょっとあまっちょろい進歩思想的に米国批判でもすればいいと思っていらっしゃるのではないですか。でも私は私の経験から動かないのですよ。私が歴史のなかで感受したものから微動だに動くものかと思うのです。民衆というのはそうして死ぬものだしそうして生きるものだし、それを総体で平和というふうに思索していくしかないものなのです。いいですか、思索が先にあるのではないのです。どういうふうに歴史のなかで生きてきたという感性から人が動けないということです。平和なんてものは頭のなかにはないんですよ。』


# odakin 『マジレス感謝です。爺保守とは思ってますがアホウとは思ってません(思ってたら毎日読んでませんてw)。「ファン」「20年後ネットに残ってろ」は皮肉ではなく本気です。
 “「戦争」にしては”「クリーン」かもしれませんがこれでうまく行く、或は戦争やった方がやらないより良かった、ようには僕には思えない。その辺、皮肉抜きで啓蒙してもらえたら嬉しいけど、そこまで要求するのはちょっと図々しいかもしれませんね。
 聞くだけじゃフェアじゃないから書いとくと、ヴェトナム戦争コミュニストでなくアメリカとその傀儡政権が今のイラクのように勝った方がマシだったのかどうかは、分からんなぁ、そうかも知らんなぁ、と思ってます。いや分からんというだけじゃアレだけど文字通り分からんw でもきっとフィリピンや昔の中南米みたいな形だけの「民主主義」の国になったんじゃないかな、と思う。ゲリラも残って。歴史を捨てた阿呆なアメリカンには実感できないだろうけど傀儡ではない、「正統」であるとみなされうる、というのはとても重くて重要な事なんじゃないかな、と。民族の誇りを踏みにじりレイプせずにはいられない、というのはアメリカの病理なんだろうな、と思うのです。』


# finalvent 『okdakinさん、ども。繰り返しは避けて2点だけ補足。クリーンな戦争というのは、人が尊厳に死をかけることを許さないのでよくないという感性が私にはある、というのと、戦争は国家から見るのではなく民衆から見るべきだということ(ベトナムアメリカや、共産主義対民主主義といった枠組みではなく)。民衆を殺して勝利する国家というものを私は憎むし、その憎悪感は生きた歴史の感覚であって上から来た思想(啓蒙)ではありません。』


# odakin 『 「民衆から見る」視点だとすると、米政府が嘘をついて始めた戦争により殺され、家を追われた数十万人のイラク人の犠牲、アラブ世界でもっともセキュラーな国家から女性がかぶり物をしないで歩いてるという理由で殺されるような状態に叩き落とされて今後数世代の未来を根こそぎ奪われた人々の事はどう考えているのかな、とどうしても腑に落ちないのです。
 それこそ現時点ですら犠牲になった人数は平時に沖縄でレイプされきた膨大な人数よりさらにさらに多いわけですよね。「クリーン」というのはあくまで“戦争にしては”という限定付きであって、戦争というのは元来「そういうもの」であるからこそ他国を侵略し蹂躙するなら勝算の上でも道義の上でも慎重の上にも慎重を期さないといけないんではないでせうか。
 で、まーそうはいっても僕が見落としてる何かがあるんだろうな、と思って、啓蒙ちゅーか教えてもらえたら嬉しいかな、と思ったのでした(良く知らないので)。
 ヴェトナムでもイラクでも「民衆を殺」した主体はアメリカであってその責任も第一義的にはアメリカに帰されるべきではないでしょうか。何か論理の根っこが「米政府の行動は天与のもの」となってるような、原爆の被害に対して日本政府を責める左翼と相似形の倒錯を感じてしまいます。』


# finalvent 『*odakinさん、ども。皮肉や皮肉に取らないでください。ああ、やはりodakinさんに私の思想(なりというもがあるとすればですが)伝わっていないし、理解されていないのだと思いました。そして理解していだくことはとても難しいというか途方に暮れる思いがあります。2つの側面を簡素に書きます。根幹は、odakinさん自身が歴史を担った日本人であるという自覚・思想が欠落しているということです、言い方はきついし不快に思われるでしょうが、責める意図ではありません。
 1、「米政府が嘘をついて始めた戦争により殺され、家を追われた数十万人のイラク人の犠牲」についてですが、 odakinさんという日本人はこのイラク戦争にどういう関わりを持っていますか。米政府がこの戦争を嘘をついてまで始めた理由はブッシュやチェイニーのいかれた思想なりまたは米国の帝国主義侵略とお考えでしょうか。こうした典型的なドツボと戦うために私は極東ブログで孤立しても述べ続けてきました。「アラブ世界でもっともセキュラーな国家から女性がかぶり物をしないで歩いてるという理由で殺されるような状態に叩き落とされて今後数世代の未来を根こそぎ奪われた人々の事はどう考えているのか」、これはもっと世界観の欠落で、世界はその逆に動いたのです。
 2、「ヴェトナムでもイラクでも「民衆を殺」した主体はアメリカであってその責任も第一義的にはアメリカに帰されるべきではないでしょうか。」そうではないのだというのが私が前回、正直苦渋の思いを持ちながら書いたことです。ベトナムイラクは、敗戦国日本と重なるのです。そこがわかりますか。odakinさんにもお父様お母様がいらっしゃるはずです。そしてそのまたご父母が。そのかたが、みなあの戦争でアメリカに殺されかけた可能性があるのです。それを一義にアメリカのせいだと言えるならそれはそれでご立派です。あるいは戦後神話のように日本が誤った戦争を起こしたからしかたないのでしょうか。いえ、私たちの父祖は天皇のご聖断によって救われたのです。しかもこの救済は実は日本国という国家を否定するものでした。この歴史の機微と痛みから、ベトナムイラクを見るとき、日本人でしか感得しえない哀れみと痛みが感じられないものでしょうか。』


# odakin 『どもども。

1.私には、イラク戦争に関して finalvent さんが「極東ブログで述べ続けてき」た事は、悪くいえば見たくないものは見ないようにして書かれた一方的なものに、良くても wishful thinking の域を出ないように見えます。けどまー私は「世界はその逆に動いた」かどうかを判断するに足る材料を持っていないし、逆に finalvent さんがそれを開示できているようにも見えないので、気長に20年後振り返ってイラクを見てみましょう、という事だと思います。(ファンなのでちゃんと残ってて下さいな、というのは既述の通り。)

2.仰っている心情は分かると思っていますが、それは結局上で書いた「倒錯」そのままであるというのもまた事実では。
(見解を開示させるばっかじゃアンフェアかもしれないので私がどう思ってるかもうちょっと書いときます、って重複になっちゃうし別に応答を求めてのものではありません:  戦争の惨禍に対する責任というのは総体としてのそれを追及してもあんまり意味がない;あえて言えば(挑発されてでも)始めちゃった方がより責任が重いか;総体ではなくむしろもっと個別に、アメリカが行った民間人の大量虐殺に関しては全責任をアメリカが負わなければならないし、日本が行ったものについても同様; ってまぁ日本は対アメリカではそういう事は行っていないと思いますが;あえて総体として見るのであれば、ヴェトナム戦争に関して戦闘員ゲリラ民間人あわせて優に100万人以上を殺したアメリカではなく、その犠牲を甘受した北ヴェトナム側の体制の非人道性のみを云々する finalvent さんの論理は、上で書いた意味で、つまり米政府の行動=与件という倒錯性において戦後日本の植民地的思想空間の枠内から一歩も出ていないように見える;もちろんイラクに関しては言うまでもなく現状の惨禍の全責任および近い将来「やーめた」っと放っぽり出した後の犠牲についても非常に大きい責任をアメリカが負うと考えてます; だいたいフセイン独裁体制の立ち上げにもアメリカ関わってるんだしそういう意味でもね;アフガンでもドイツ他NATO軍が、米政府が傀儡政権作ったあげく無責任に放っぽり出した後の尻拭いを手伝わされてますが酷い話ですね;さらに大きくいえば、以上のことは私が個人的にそう考える、というより、世界的にごくフツーであたりまえな見方である、といってもいいと、今までいろんな人と話した感じから思ってますが、まーそこまで主張しても所詮主観にすぎないといわれるんでしょう; といった所です。)

 いずれにせよ、真摯に御答え頂いたおかげで20年後私が爺になって見返したときになにか分かるものもあるかもしれませんね。ありがとうございます。』


# finalvent 『odakinさん、ども。この先はたぶん、平行線だろうと思います。そう思う理由を2つ書きます。1つは「その犠牲を甘受した北ヴェトナム側の体制の非人道性のみを云々する finalvent さん」はとんでもない誤解ですよ。北ベトナム体制の非を日本人がどう考えるか、日本人なら考えなければいけない課題がありますよと強調しただけで、米国の非人道性とその誤りは言うまでもないことです。具体的にベトナムの民衆を殺害したのは米国軍です。そんなことが前提として理解されていなかったのかというのは呆然たる思いです。2つめは、odakinさんは、私が一番問いかけたかった部分、あなたが(かなりたぶん)日本人であることの意味です。 odakinさんの発言は、無国籍なお利口な進歩主義者の「思想空間の枠内から一歩も出ていないように見える」ということです。つまり、ご聖断で生き延びた民族の悲劇と矛盾というものを思想的な課題にしないで、なぜ日本人でありえるのでしょうか。歴史が私たちに課した思い思想的な課題です。
 とはいえこの問題は別にけんか腰になるような問題ではありません。たぶん、私たちの利害に関わった問題ではないでしょう。あと最後に補足すると、カワセミさんのこれ⇒http://kawa-kingfisher.cocolog-nifty.com/blog/2005/12/post_b083.html に私の政治的な立場は同じです。』


# odakin 『どもども。遅くなってしまいました。どこまでいっても平行線という点について(だけ)は大分前から合意がとれているようですね(^^;;
 ヴェトナムについて聞いたのは20年後のための確認です。他人同士が話をするんだからどのみち誤解塗れは避けられなくても、できるかぎり色々と明々白々に判然とさせておきたいのです。ヴェトナム戦争に関して「米国の非人道性とその誤りは言うまでもないこと」が聞けてよかった。
 ちょっと脱線すると、「ご聖断で生き延びた民族」って、そもそも開戦の責任は天皇以外の誰にあると思ってるんですか?数百万柱の英霊は天皇陛下の為に命を捧げられたのではなかったのですか?「お利口な」思想のアクロバットはどっちでしょう(反語)。天皇は果たすべき責任を果たしただけでしょ、たとえそれがどんなに有り難く貴重な尊いものであったとしても(本当にそんなに世界史上 rare なのかは疑問が残るので何かリファレンスを教えてもらえるなら教えてもらいたいですが)。「天皇陛下の為に命を捧げろ」という教育がフォーマルになされた事の意味を軽んじてませんか。なんというか、今では陳腐な黴の生えたロジックであってもアクロバットはアクロバットです、あたしゃもっと愚直なのがお好み。
 カワセミさんのはどっちかというとコレを想起させられます(ようやく南ベトナムでまともな選挙が行われて、ベトコンのテロの脅迫にもかかわらずこんなに多くの投票があった、民主主義万歳!な1967年のNYTの記事です、是非全文読んでみてください、ちなみにテト攻勢の4ヶ月前):
http://www.dailykos.com/story/2005/1/31/2335/87390
お二人とも「ブッシュの意図」に関してだけいきなり naive に無邪気になるのはなんらかの病理なのではないかな、と推察するです。だいたい彼の意図がどうあれ次の大統領かその次かしらんけど合衆国の国家意志は間違いなくイラクを見捨てると、私は考えてます。
 ま、その辺はどうがんばっても水掛け論だから結局20年後に見返してみましょうという最初の結論に戻りますですね。(^^)』


# finalvent 『odakinさん、レスありがとう。どうも通じる余地はなさそうですね。「そもそも開戦の責任は天皇以外の誰にあると思ってるんですか?」そう若い世代に問われてしまうことを、私もまたこの国に50年生きた者として自らを恥じなくてはなりません。』

どこにあったか忘れそうなのでw