理研の研究員会議総会(*)

とかいうのがあり。「異才に遭遇(あう)」と題してw
 いっぺんぐらいナマ野依さんの話でも聞くかと行ってみたらなかなか楽しかった。野依さんさすがノーベル賞とるだけあって*1良い事を上手に話していた。予想に反して(?)完全に「こっち側」の人であった。
 うむ、と思ったスライドは以下の二つ。


科学研究=問題+解答*2

本質は仮説の「反証可能性

権力は無用,好奇心,自学自習

異端,前衛のすすめ

基礎*3,思い入れ*4,独自性,少数派の誇り*5

「競争」よりも「寛容」が独創を育む*6

多数決の弊害*7

不確実性(科学) vs 目標管理(技術)*8


科学研究の評価の要素

独創性   驚き
普遍性*9  信頼,納得
継続的な先導性*10
科学的,社会的波及効果

「分野の開拓」「雇用の創出」



他の人の話も面白かった。(デグーとかいう歌を歌うネズミに道具の使い方を仕込む話とか、南極の氷を2000年分分析して超新星爆発や太陽の活動周期が見られる話とか、THzの光の測定器の話*11とか、圧力やアルコール濃度で色が変わる素材の話とか、113番元素発見に至る紆余曲折の秘話とかいろいろ。)
 某脳科学の人も居たので「モギケン胡散臭くね?」みたいな事をこっそり聞いたら(参照)、その人のまわりでも「あれ?」と見なされてるという話を聞きちょっと安心というか脳科学というジャンル全体の私的評価を戻す。

*1:ドイツでも思ったがノーベル賞学者を身近に見られるという事のメリットは「こんなオッサンでも取れるんだから俺だって」という野心のカジュアル化がおこる事ですな。正のフィードバックがかかる。

*2:勉強のできる人はとかく与えられた問題を解く事だけに夢中になっちゃってアカンとな。

*3:ちゃんとした学問的基盤なしに単に無茶苦茶やってるのでは意味なし、とな。当然だが。

*4:思い込み、ではアカンとな。 でもそれって後になってはじめてどっちだったか分かる事だよな。「全てのクボヅカは自分のことをジム・クラークだと思っている」「事前にクボヅカとジム・クラークを選別する方法はない」っていうのと一緒で()。(追記:言うまでもない事ですがここで言ってるジム・クラークはへんなレーサーじゃなくてこっちの方。)

*5:そのとき主流の事をやってるようでは独創的な研究は出来ない、と。

*6:アメリカ型でひたすら競争ばっかりやってても独創的な成果はでない、と。オリンピックで一番になるのとノーベル賞とるのとの違い、という例えを出されていた。

*7:独創的な研究提案が多数決を通るかいな、科研費とかの決め方が多数決なのは論外だ、とな。「萌芽研究」とかじゃなくて「異端研究」という枠を作れ、と提言されていたw

*8:科学側としては、やってみなきゃ分からん事をやるから独創なのであって事前に研究計画を提出せよとか達成率を報告せよとか愚の骨頂である、とな。んでも、そこに如何に技術側の効率性を取り入れバランスさせるかが大事だ、とも言ってたが。

*9:単に人がやってないこと、というだけではなくそこには普遍性がないといかん、と。下の「分野の開拓」「雇用の創出」とも繋がる。

*10:一発屋じゃだめだ、いっぺん世界をリードしたらリードし続けろ、とな。

*11:ふと思ったんだが THzの光=meV ということでTHzレーザー干渉計かなんかで宇宙項の影響を見られたりせんかね、分散関係あたりで。