ルートヴィヒ美術館(ケルンの現代美術館)

半年ぶりにはてなに来たらなんかエディタ(?)の見た目がえらい変わってる。はてなのむこうのみなさまお久しぶりです。(ついった/ゔぁっさのむこうのみなさまはやーまたこんにちは。)


というわけで現在1ヶ月ほどボンに居てこのさき2ヶ月ほどセルンに行くわけで都合3ヶ月の単身赴任(おくさんすみません…)ですが、昨日は、先日ボンの街で偶然すれ違った野間くんとケルンに行ってきました。
「こんどの土曜日のもう」
「どうせなら朝からどっか行こう」
「どこ行く?」
「どこいくかね」
ライン川クルーズ*1かケルンの動物園かどっちがいい?」
「どっちでもいい」
というかんじで当日
「どうする?」
「どっちでもいい」
「じゃ動物園で」
という具合にケルンに行く事になったのです。週に一回ぐらい陽に当たらないと鬱になるしな。ケルンは鈍行列車でボンから30分弱。が、そういえば「ケルンの美術館のピカソのコレクションは世界で3番目の規模らしい」というようなことを誰か言ってたな、というのをふと思い出し
「ケルンの現代美術館にピカソのコレクションあるらしよ」
「いいですね」
ということで急遽ケルンの現代美術館(ルートヴィヒ美術館)に行く事に。


いやー普段は美術館といっても子連れで子供が飽きちゃうんでさっと回ることしかできないけど、今回は野郎二人ということで久々に堪能しました。5時間ぐらい。あたしゃ美術は断然現代モノが楽しいと思う。「またあ(笑)」とか「がんばっちゃって(笑)」とか「虚仮威しが過ぎるな」とか「見飽きたわ」とか思ったらこっちの勝ち、「まいりました」と思ったらこっちの負け。負ければ負けるほどウレシイ、という。中間の「これならうちに置いといてもいいよ」というのもある。(そもそも野間くんが「この作品は触ったら負け。触りたくさせたら作者の勝ち」というのでなんか触りたくなり*2触ったら係員に触っちゃダメと言われたのが勝ち負け的鑑賞のはじまりであった。)


とりあえず一番上の階に上って最初にあった Mark Wallinger の Royal Ascot(参照)。TV4台にエリザベス女王以下王族の競馬(?)への入場シーン。「こんな思わせぶりでなんかあると深読みさせる。くだらんな」と思いつつ見てたらなんか4つが微妙にずれてる。さらにみてたらザベスの服の色が違う。どうも4つの違う年の入場シーンを同時に流す、という趣向のようだ。さらに見ててピーンと来たがこれはあれだ。右から2台目のTVの3台目の馬車に乗ってるオランダの王族(?)の女の人の胸がハイライトだな。と確信するに至る。それで終わるし。全てはそれを引き立てるための演出である。芸術はおっぱいに始まりおっぱいに終わる。



そんなこんなで写真撮影禁止なので以下写真はないが(左図は外で撮ったケルンの大聖堂)、つまらないのはつまらないなりにけなし、凄いのは凄いと感心し、至福の時間であった。けっこう「くだらねぇ」と思ってもじっと見てるとなんらかの意図が分かってくる、というのが多く、さすがこれで食ってるやつらの最高峰が集められてるだけはあるな、と。

あとはプレスリーの上下2分割の動画とかカッコ良かったり、江戸時代〜明治初期の日本の写真の特集が素敵だったり(右図はそのポスター)。*3 日本ってほんと昔からずば抜けて特異にヘンカッコイイ国。日本人では、上野彦馬参照)っていう人と、クサカベ・キンペイ(漢字わからず)という人の撮った写真がありました。


そんでそもそも久しぶりにここを更新しようと思ったのはダリの Perpignan なんちゃらという絵(パソコンのちっさい画面ではその凄さの百分の一も伝わらないがいちおう参照画像・リンク切れてたらこちら)に ものっそ感動したのと(「あ俺この絵好きだわ。これはアリ。どれどれ誰が描いてんのよ。ダリじゃん!さすが・・・」と始まりずーっと見てるとどんどん見えなかったものが見えてくる絵)、あと「ピカソさんwwwwwまじパネェっすwwwwwwwww」と圧倒された(何部屋もある中で勝てる作品が一つもない…。いろんな角度から見たのを同時に一枚に描く例のスタイルの絵、鉛筆書きの線画でみるとさらに凄い。「ピカソってカラビ・ヤウが見えてるよね」とは野間くんの弁)のとがあれだったからである。とくにピカソの絵は圧迫感が凄いというか、ピカソ部屋からでて他の人の普通の抽象絵画の部屋に入ったとたんすごいホッとするというか落ち着くというか、いやーピカソさんスゲエ。(マドリッドで見たときはそれほどにも圧倒されなかったので、もしかしたらケルン美術館の人の選ぶセンスが凄いのかもしれない。)


後は確かピカソの次の部屋にあった他の人の描いた絵なんだけど、一見すると普通の肖像画で「あれ?なんでこの抽象画ばっかりの部屋にこの絵が?」と思いきやよく見たら座ってる女の人の顔以外いっさい具体的なパーツの絵がない、という凄い技を見せつけられた奴が印象的であった。見た感じほんと普通の座ってる人の絵にしかみえないくらい自然で、これはすごいなと。


それから、モダンアートの部屋でロールシャッハテストみたいな絵があって「こんな思わせぶりで勿体つけてくだらん」と一見思ったんだけど、その絵の下にテーブルがあってバイクのヘルメットが置いてある。野間くんが「いやこれも作品の一部なんでしょ、これがなんかのヒントなんじゃ」と言うのでしばらくよく絵をみてたら実は衝突して潰れた車の絵であるとピーンと来た。いっぺん分かるともう潰れた車の絵にしか見えない。おもしろい。その後でその部屋の作品のリストを見てたらなんとその絵の下のテーブルのヘルメットは別個の作品で、絵自体には「Car crush」とそのまんまのタイトルが付いてて(興ざめすぎて)ちょっと笑った。んで、その部屋だけ作品のタイトルを壁に載せず紙に印刷して、ヘルメットというヒントを置いておいたのは美術館の人の仕業だったか、と思い至り、凄いな、と。


あとねー舟の中にマネキンの首がゴロゴロ山積みになってる作品。その頭部は茶色く汚れている。最初「またこんな虚仮威しを(笑)」と思ったんだが、作品解説によるとその茶色いのはチョコレートであると。となりに茶色い四角いのが潰れたのが額縁に飾ってある作品もある。そばに寄ったらどっちもチョコが腐ってすっごい臭い。超臭い。思いついただけじゃなくて実際にやって流通させたのは凄いな、と。負け。


ウォーホールとかリヒテンシュタインとかのアメリカン・ポップアートの部屋もあったが、うーんま出た当時は新鮮だったんだろうけど、おらーどうも好かんよアメリカン・テイスト。安っぽくない?


美術館併設のレストランで昼飯食った後、最後に地下へ。動画アート(?)の特集であった。2時間くらい居たがどれもどうも好かん。ハイコンテキスト性も動画そのものの密度もニコニコ動画にぜんぜん負けてるとオモタ。最後の動画の部屋でちょっと勢いが落ちてウェブ日記にしたためるのが次の日の今日になった次第。


その後ライン川の橋を往復し(なんか線路との境の金網に鍵をつけて愛を誓う風習があるようでいっぱいあった)、Früh(参照)の地下室でケルシュを飲み*4、大聖堂で暗くなるまでなんかしばらく居た後に帰る。


というわけでルートヴィヒ美術館(ケルンの現代美術館)おすすめです。


*1:※マイ記法だとルァイン川クルゥーズ(参照)。

*2:金属の溝に金属の球が置いてあり「なにこれくっだらねぇ」と言ったら野間くんがそう言ったのであった。いや現代美術って体感型のも多くて触っていいんだか悪いんだか分からんのも結構ない?客が堂々と上に乗ってたりとか。特に日本と違って仕切りもなんにもない展示ばっかりだし。

*3:切腹の写真は明らかにヤラセだったがw

*4:けーた君(ボン在住)に「ケルシュって不味くない?」と言ったら「ケルンの醸造所直営のところに行ったら美味い」と言われ行ってみたら確かに美味かった。亮君、小出さんと3人でいったときは19杯、野間くんと2人で行ったときは14杯×0.2リットル。