なぜリフレ派は戦う前から負けてるのか、というか黙殺されてるのか

学者バカ。経済学ってなまじ社会を扱うから勘違いしちゃうんだろけど、例えば僕が「こんどの総選挙では素粒子論の観点から見て正しい意見をいってる候補者がこれしかいないんだよなぁ日本のレベルは低いなぁ」とか上から見下ろしたように嘆いてたら、それがどれだけ阿呆に見えるか分かるよね。経済なんかより公正と社会正義が優先だ、とか安全保障あっての経済だ、とかいう観点だって当然有り得るし、どれをどのくらい優先するかというメタな価値判断は経済学からは出てこない(これも参照)。マクロ経済学は当然マクロなものしか扱わないわけで*1、僕も含めてバブルの時に土地成金とフジテレビに表象される所の口先だけの連中がいかに浮かれ騒いで羽振りをきかしていたかを肌で知ってる人間にとっては「なんでもいいからインフレにして景気よくしましょ」と言われても「あんな連中を儲けさすぐらいなら貧乏で物価が安くなる方が100倍マシ」と思ったって全然不思議ではないわけですよ*2。ちゃんとそうならない、公正に物事が執り行われる、というコミットメントなしじゃだれも耳をかさんでしょ。だからこそ「構造改革」が先だ、というステートメントが政治的には正しくもなりうるわけです。(ま今までヘタレてきた小泉さんがこれから一年でそれをできるのか、というのはまた別の問題になるけど。)


*1:御大クルーグマン先生だってアメリカじゃマクロ経済学一本槍ではなくて社会のあらゆることに提言をしてるわけです(参照)。

*2:世論調査で優先する政策は?の問いにいつも「景気対策」がトップにくるのは「お客様は嘘をつく」「今無いものは分からない」の類だと考える。前も書いたが橋本龍太郎首相が参議院選挙で負けて辞任したのも世間じゃ「消費税上げたのが敗因だ」というのが定説になってるけど、不公正きわまりない住専処理策が敗因と見るね断然。人は「公正に貧乏」ってのならけっこう耐えられるのですよ。