マドリッドで考えた

去年の12月に、金もらってるEUのネットワークのミーティングがあってスペインのマドリッドに出張に行ってきた。
 僕やあなたみたいに日本語と英語しか満足に使えない教養のない人間にとっては、基本的に英米メディアが世界の窓じゃないですか*1。(日本のメディア?論外。ていうか英米メディアのコピペよね。)
 そうするとスペインなんてぶっちゃけ「貧乏で遅れた可哀想な国」ってイメージよね?イングランドに負けて世界帝国の覇権をぶんどられた過去の国ってゆうか(例の英米西3人並んだ写真とか如何にも「あぁ力がないから道理が通らない事にも屈服しなきゃいけないのね気の毒に」って感じだったし)。バスクのテロとかのイメージもあるし*2。あと怠け者、とか。
 僕もバルセロナは行ったことあるんだけど「あれはカタランで別なんだろう」とか思ってたわけです。
 でマドリッドの空港から地下鉄に乗って市内にむかったんだけど、建物も立派だし車内も妙に小綺麗で「あれ?」って感じだったんです。そんでアトチャの駅降りてエスカレーターで地上に出てガーンと打ちのめされました。


 スペイン大文明国じゃん!!!


 負けた・・・_| ̄|○ なんかねーもう社会資本の蓄積が日本と比べたら月とスッポン。「アーキテクチャ」というものの深くて豊かな伝統が街全体から薫ってくる。
 なんかねーもう駅降りてすぐ、てっぺんに何メートルもあるような超巨大なペガサスの大理石像*3が何体もあしらわれた壮麗な巨大建造物があって、でも普通に人が出入りして使われてるみたいだから何だろうと思って見たらただの農業省の庁舎だったり。そんなんがそこら中にゴロゴロある。もう笑うしかない。
 日本じゃ「税金の無駄遣い」とか妬み嫉みの嵐で絶対に実現不可能なような建物がそこら中に至る所に無造作に建っている。駅とか大学もな。日本ってビンボ臭いな、まだまだだな、と心の底から思った。乞食も居ないし電車も清潔。
 メシは美味いしねーちゃんは綺麗。最高だ!
 僕の好きなスペイン・イタリア軍団に混ざって晩飯食ったときなんて、最初夜9時に待ち合わせて立ち飲み処でクロケットつまみながらビール。そんであっちでもないこっちでもないとレストランを探し歩いて(日本人と違ってみんなあれは嫌これは嫌と自己主張しまくりw)、テーブルについたのが午後11時w いいなぁ。時間がゆったりと流れている。ゆっくり飯食って酒飲んで閉店まで居た。ホテルへの帰り途中からは一人で30分ぐらい歩いたが、深夜でも全然ヤバイ感じがしない。東京の方がよっぽど怖いぞ。
 レストランをもとめてさまよい歩いてるとき「うっわぁこのへんの街並みいいねぇ」って言ったら「これは18世紀ごろ流行った様式だよ」とか普通に言われるしw 江戸時代かよ。
 Reina Sofia 国立美術館に行ったら、引率されてきた幼稚園児たちがピカソやミロやダリの絵の前で床に寝っ転がって画用紙にクレヨンで絵を描いてるし。豊かでしょう?そらーセンスも良くなるわ。(ちなみにピカソと同じ階に展示されてた Pierre Gonnard という人の Kevin という作品、印象的だなぁ、と思って良くみたら 2005 年の作品だった。今年かよ!「死んだ過去の陳列物」としてではなく選ぶ人のセンス・存在を賭けて生きてるプロセスとして芸術が扱われてるんだなぁ、と思った。)
 パンクス風のえらくおしゃれな中高生が何百人も集まって道路をホコテンにしてなにやらデモをしている。警察のお墨付きのようだ。なんのデモだ?と聞いたら学費値上げ反対だかなんだか*4。ちゃんと左翼(パンクス=左翼である)がデモをする事が自然であたりまえの事として社会に組み入れられている。豊かでしょう?


 やっぱねー英語を通してしか世界を見れないってのは歪んでるんだな、植民地人だったな、と反省した。
 そういうわけで以下「日本は本当に金持ちなのか?」シリーズを何回かやる予定。


*1:ま、英語さえ使えれば印欧語族の国では自動翻訳で結構なんでも用事が通じるんでは、という実感をドイツで持ったけどね。ウェブサイトも自動翻訳できるし、メールでのやりとりも自動翻訳でかなり乗り切れる。←英語で書いて役所とか会社に送るといちおう英語読める人が誰かは居るらしく返事は返ってくる。返事はドイツ語で書かれてることが多いんだがこれを自動翻訳で英語に直して読み、また英語で返事を書く。

*2:ちなみに実際はバスクはスペインの他の地域より豊かなので分離したがってるそうな。贅沢者め。

*3:追記:今思い返してみると白じゃなくて黒だった気がしてきた。ブロンズ像かも。大意は変わらず。

*4:追記:学費導入に反対、だったかも。とにかくなんか教育制度の改革への反対だったと思う。