昨日のセミナーは
西村さんによる
“Black hole thermodynamics from strongly coupled gauge theory --- a direct check by Monte Carlo simulation”
ちょっと前に朝日新聞の記事
いや今日の更新は単に、素粒子論の研究室にくればこんな面白い話を本人からナマで聞いてあまつさえ理解できちゃったりするようになるのだよ、という宣伝です。>学生さん読者(いるのか?)
ちなみに僕は常に新聞記事よりはプレスリリース(*)の方が分かりやすいと思うんだがどうか?このネット時代、全部の新聞記事からプレスリリースへのリンクを貼ってくれれば便利なのに・・・
プレスリリースの図2:
を見れば、「端っこの点がタッチしてるだけで、線にのってるかどうかは分からんじゃん」というツッコミが誰でも浮かぶわけだが、これは実は拡大すると2点のってる(笑・もちろん原論文(PDF)の図3にはちゃんと拡大図もあり)。んであと1年ぐらいスパコンをまわすともう2点ぐらい増やせて説得力が増すであろう、という事なので待て次号
トークのイントロで、新聞にも取り上げられたよ!というのと並んで Lubos Motl のブログでも取り上げられたよ!*1というのが同じ重みであったのが、今やそういう時代なんだなぁというかんじで面白かった。
飲み会で聞いた裏話(というほどではないが)としては
- 機構長になんか宣伝しろと言われて宣伝するハメになったとかなんとか。
- まずはKEKの広報と文科省のなんとかいう部局にプレス・リリースの原稿を何度も直されてから、記者会に送る。これが1/12ぐらい。
- 記者さんに面白いと思ってもらえたらじゃんじゃん電話がかかってくる。一回2時間ぐらいインタヴュー。
- Physical Review Letters に載る日が1/15でこの日に記事解禁。*2
- これは意外だったんだが、さすがに記者さんは話を聞きながらちゃんと要点をメモって分かりやすくまとめてくれるんだそうな。
- が、デスクで変に直されるそうな。(日本ってどこでも年寄りがガンよね)
- 実は上の朝日の記事もけっこうミスリーディングなんだけど、これもデスクの段階でそうなってしまったそうな。
- 以前酔っぱらって悪口いった朝日の記事(*)も、現場の記者さんの段階ではちゃんとした原稿だったのをデスクが直してあんなんなってしまったそうな。その後弔い合戦(?)で特集記事を組んでくれたらしく、それはまともだったとか。
- 記者さん達が結構LHCでブラックホールが作られる可能性、みたいなのに興味を持ってるらしいんだが、野尻さんに勉強会(というのがあるらしい)で「そんなもん出るわけない」と言下に否定されてがっかりしたとか(笑)
- んで西村さんに解説せえとお鉢が回ってきたので僕を紹介したらしいが*3僕のところには連絡ナス。こんなウェブ日記を書いてる危険人物にはこんわなw 西村さんがかわりに宣伝してくれるのはありがたいので15分ぐらい解説してこないだ富山大のセミナーで話した時のスライドを渡しといた。
*1:あんまりギョーカイの人にはネットで触りたくないのだがこれだ:“Numerical BFSS matrix model & black holes”。“Of course, I have never had any doubts that it would work but it is cool that one can actually do it.” との評。
*2:論文の原稿自体は半年以上も前にウェブに載ってんだけどね:「Monte Carlo studies of supersymmetric matrix quantum mechanics with sixteen supercharges at finite temperature」。PDFというとこをクリックすれば誰でも読めます。