今日は我が校の入試の監督を

仰せつかった。数学2時間半+英語1時間半+理科2時間半なにもせずじっとしているというのは他の同僚はけっこう退屈でしんどかったみたいだが*1、こちとら理論物理を10年も研究してきた身である。目を見開いたまま脳内で妄念をぐるぐると蠕動させていれば2時間半なんてあっという間だ*2。昼食後の英語の時間は眠くて目を閉じそうになったけどな。


 監督要領を読んでて、ある場合に、「一切答えられない」旨を伝えること、とかいう記述があってああ今日私は日本的官僚組織の歯車として過ごすのだな、とちょっと暗い気持ちになったが*3、幸いにしてそういう非人間的な事をいう必要もなく滞りなく終わりました。


 がんばって問題に打ち込む若者たちをみていてふと、ドクターを出て何年も経った後、もうポスドクでドイツに行ってから(ひょっとするとポーランドで)だが、自分が試験を受けている悪夢をみててガバッと目が覚めて「あぁ俺はもう一生(ペーパー)テストを受けないでいいんだ」と思ってなんともいえない安堵感を覚えたことを思い出した。学部卒業後は筆記試験なんて受けたことないからその時点で最後に受けてもう10年ちかく経ってたのに、意外にトラウマになってたんだなぁ、とそのとき思った。いや世間一般の人に比べるとそれほど苦手ではなくあんまり苦にしてたつもりもないんだが(といっても東大理物によくいるペーパーテストの天才みたいのと比べると赤ん坊みたいなもんだが)、やっぱりとても嫌だったんだなぁ、と。


 何が嫌いって他人の決めたルールで一方的に集中させられ一斉に評価されるのが嫌い。できれば自分の子供もなるべくお受験とかとは縁遠く過ごさせて「自分の人生のルールを決めるのも、そのルールの下で何をするかを選ぶのも、自分自身である」という本質的に重要なことを見失わないようにさせてやりたいと個人的には考えている。


*1:控え室で「居眠りなんかしたらかっこうの2ちゃんねるネタですよね」という発言がなんだか面白かった。権力関係において弱者の立場に立たされた者でもメディアを持っている、味噌糞一緒でもそいう発信ができる2ちゃんねるという場がある、というのは総じて社会全体にとっていいことだと思う。よりみなさん襟を正す感じになって。

*2:関係ないが本田透さんの脳内恋愛というのも同様のプロセスであると思われる。

*3:いや色々考慮に入れると確かにその場合はそうするしかないだろうな、という状況ではあるのだが、おんなじ事いうにしても「常識的にしかるべく処理されます」ぐらい言ってやりたいもんだ。